同期の花園

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「え? あ、これ? 努力はしてるんだけど、まだ生きてる。生きてる価値ないって散々言ってくれていたのに、ごめんなさい」 「そ、そんな。本気で言っていた訳じゃ」 「そうそう(はるか)さん覚えてる? 空野(そらの)(はるか)。あなた達が裸にした写真を不良グループに拡散して不登校になってた子。別クラスだったから今回会いたかったんだけど、自殺してしまっていたの。不良グループにレイプされてたみたい。それと……は、あなた達に……されてた反動で承認欲求が……ホストにハマって風俗で……」  動き続ける山河の唇がスローモーションになり、その言葉の断片が次々と朱の脳裏で映像に変わっていった。 「違う。違う。私はただ。そう、(みどり)(あおい)と……気晴らしで……」  朱の額に粘着質な汗が浮かんだ。止まらない山河の言葉と、フラッシュバックする記憶。それらが共鳴して脳が直接揺さぶられているようだった。 「大丈夫?」 「ちょっと。トイレに行ってくる」  気付かれぬよう、悟られぬよう、フラつく足を踏ん張りながら朱は会場を抜けトイレに逃げ込んだ。  個室に入ると蓋をしたまま便器に座り込んだ。誰が誰だかまでは覚えてさえいなかった。しかし緑川翠と青木葵、三人でやっていた他愛のないことは思い出してきた。今思えば子供の憂さ晴らしだった。だからターゲットは手当たり次第。大人になった今なら分かる。学校に居る時だけが唯一の自由だったとはいえ、好き勝手やっていた事は悪かったと。 「最悪! 昔の事じゃない何なの今さら」  朱は頭を掻いて膝に八つ当たりをすると帰ろうと決めた。するとドアがノックされた。  
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