23 シアランディア城

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23 シアランディア城

 ダクダ山脈のふもとには、頂を持つ小さな山が点在している。シアランディア城は、そんな小さな山の斜面に建造された、難攻不落の城だった。  なぜ、城が斜面にあるのか。  それは、その頂に精霊を祀る祠があり、その祠を守るための砦が少しずつ増強されて現在の城の形になったからだ。  つまり、シアランディアの王家は精霊を祀ることを使命として、大昔より脈々と続いてきた家系であり、ダクダ山脈から海に向う大地に興った国々の中で、最も古い歴史を持つ国だった。 ゆえに、シアランディアの民は、他の国民より精霊を深く信仰しその信仰を守ることを誇りに思う。  シアランディア城の朝は早い。  城の馬場の隣に兵士の訓練用の広場があって、朝日が上がる前から、いつも数人の兵士が自主的に訓練をしている。その中に、オニールの姿もあった。  オニールと剣士のファレルが中心となって、若い兵士を鍛錬していた。  オニールは、一年前、ボアーンの森でマーリーンに襲われて以来、一層剣術と魔術の鍛錬に取り組むようになっていた。
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