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「あ。あの子だ」
それからたまに彼女を見かけるようになった。会うのは決まって残業して帰る夜遅くのこと。
初対面の印象が良くなかったからか、彼女は俺を見ると足早に階段扉へと去ってしまうのがお決まりだった。
先週もそう。昨夜だってそうだった。
「でもそういうことって結構あるわよ?電車でも女性専用車両とかあるわけだし?」
「そうそう!前に嫌な思いしたとかね」
「そもそも人が苦手とかもあるかも知れませんよ、僕もそうだし」
会社の飲み会で愚痴をこぼすと、同じ課の面々が口々に俺をたしなめてくる。
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