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「もう……。いいですよ別に。俺はいつも食べてるし」 好物なんだから内心我慢してはいるが、仕方ない。 「さすが、先輩は優しいです」 「入社2年目なのに社会というものを理解してるじゃない?じゃあ遠慮なく~」 甘い旨いと幸せそうな声が聞こえてくる。俺は諦めて残りのビールをあおる。 「話し戻すけどさぁ、相手は女の子なんだし?そんな目くじら立てて怒んないのよ~?ねえ、しょー思うよねっ、お姉さんっ?」 酔った上司が俺ではなく、空いたグラスを運ぶ店員さんに絡む。 「やめてくださいよ恥ずかしい。すみません、今日は大人数でうるさくて」 言いながら俺が空き皿を渡すと、店員さんは慣れた様子で目を細めた。 そんな明るくて賑やかしい雰囲気にほだされて、俺もなんとなく納得する。 そういうものなら仕方ない。 きっとあの子は、男が苦手なんだろう。
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