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戸籍上はまだ私の母親ということになっているであろう、みよ子さん。あなたはもう死んだの?それともまだ生きているの?もし生きているのならもっともっと長生きしてください。そして苦しんでください。
最後に裁判所の調停員に聞いた話だと「糖尿のほかにも難病を発症して大変みたい」という話だったけど、難病といっても病名まで聞いてないし診断書も提示されなかったけど、それが本当なら、病気で苦しんで苦しんで苦しみ抜いて生きてください。
あなたは自分がどんなに苦しい思いをしても、私も同じように苦しんだなんて全く思わないだろうけど。私に悪いことをしたなんて、これっぽっちも思ってなかったし死ぬまで思わないだろうけど。
最後に荷物を取りに行った時、何度チャイムを鳴らしても出てこないから、向かいのコンビニで「病院行ってるのかな?」って聞いたら「今日は行ってないはず」といわれたので、だったら家にいるはずなのに、倒れてたらどうしよう…と思って警察に電話しようかと炎天下を公衆電話を探していたのに、なぜ私が警察を呼ばれなきゃならなかったの?みんなに「親を殺す気かっ」って責められなきゃならなかったの?
私が「おっかない」って、私がもしあなたを殺す気だったとしたら、殺されるような酷いことを自分達がしたからだとは思わないの?
子供のころ私を殺そうとしたのはあなたでしょう?あなたにも他の兄弟からも、他の子供たちにも、存在を否定されてきたのは私。何も悪いことをしていなくても生きていることを責められてきたのは私。誰からも愛されないどころか存在することを責められてきたのは私。生まれてきたこと自体が間違いだったと、ずっとそう思いながら生きてきた私の気持ちが分かりますか?
警察の車でここに戻ってきたとき、最上階の9階の通路の手摺りに上って遥か下の地面を見つめていたときの私の気持ちが、あなたに分かりますか?何故こんなに憎まれなければならないのかと、悲しい気持ちで、あなたにほんの少しでも「助けてほしい」と思ってしまった自分が、どんなに情けなく惨めだったか、あなたには死んでも分からないでしょう?
私の病気(悪性の紫斑病と腎臓病)なんて「ほっとけば治る」といって「働いて養ってくれ」と私に思いきり圧し掛かっておきながら、自分はただの肩こりでも大騒ぎして「痛い痛い」と言っていたあなたが難病?
だったら、本当の病気の痛みが今ならよく分かるでしょう?
それでもあなたには、自分の面倒を見てくれる家族がまだいる。働かなくても養ってくれる子供が、私以外にも今はいる。決して孤独じゃない。
自分で自分の体を切り刻んでも痛みを感じなかった程の私の不安を、孤独を、あなたは一生知る由もない。
だからせめて、病気で苦しんで苦しんで長生きしてください。簡単に死なないでください。
これが私の、あなたへの最後の望みです。
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