社内恋愛を始めたところ、腹黒上司が激甘彼氏になりまして

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社内恋愛を始めたところ、腹黒上司が激甘彼氏になりまして

■  会社組織においてニ種類の人間がいるーーそれは出世する者としない者。入社七年目、私、岡崎梨里は後者であり、役職に抜擢された後輩が賛辞に包まれる様子をデスクから眺めていた。 「あの若さで部長なんて凄いよな?」 「そうね」  感心する声に相槌を打ち、悔しさを気取られないよう笑顔を貼り付ける。ずっと望んできたポジションに彼が就いたのは実力だと納得しつつ、胸内に燻るものはあった。 「しかも結婚するんだって」 「結婚?」 「相手は松下部長の部下。社内恋愛だよ」  これまた異例の若さで出世した男の名、続いてキャリアアップの為に諦めた分野の話を出され、言葉に詰まってしまう。  神様は意地悪だ。天は二物を与えずと言いつつ、後輩には両手に祝福を与えるじゃないか。 「岡崎さん、岡崎さん?」  天の呼び掛けにハッと我に返った。 「……朝霧君、おめでとう」  祝福の中心に居た彼が目の前へ移動している。咄嗟ながら祝辞を述べると眉を困った風に下げられた。 「ありがとうございます、これも岡崎さんの指導があったからです。どうぞこれからもご指導宜しくお願いします」 「やめて、頭なんか下げないで。あなたの方が偉いのよ?」 「でも先輩は先輩ですから。至らない点はズバリと正して欲しいです」  部署内の視線が集まって居心地が悪い。  女を捨ててまで出世をしたいと噂の私、昇進と人生のパートナーも手にする朝霧君との対比で体感温度はみるみる下がる。
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