社内恋愛を始めたところ、腹黒上司が激甘彼氏になりまして

17/28
前へ
/49ページ
次へ
 松下部長が結婚ねーー廊下を歩きながら、どうしても考えてしまう。いよいよ年貢の納め時か、それとも取引先のご令嬢が運命の人だったとか。部長に結婚のイメージを持っていない、いや持ちたくない為、信じられず疑う。  だが、結婚を控えていたから私をポップアップストアへ連れて行き、企画書のアドバイスをしたのなら辻褄は合った。会社に残す元部下を案じて行動したのだ。  部長にはこれまでも数多の見合い話があったと推察する。それをのらりくらり避ける様子も容易に思い浮かぶ。  身を固めないことで何を言われても気にせず、部長は独身を謳歌し続けると思っていたのに。  なんだか裏切られた気分。  恋愛的な意味合いではないものの、私は彼に待っていて欲しい旨を伝えたはず。それなのに寿退社をしようとするなんて。 「失礼します」  使用禁止のはずの第三会議室から明かりが漏れていた。ノックをして扉を開けるとーー。 「やぁ、お疲れ様」  そこに松下部長がいた。軽く手を上げ挨拶してくる。まさか渦中の人物がこんな場所にいるとはーー私は瞬時に反応出来なかった。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

613人が本棚に入れています
本棚に追加