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ここで一旦、私を剥がす。
両肩に手を置き、屈んで視線を合わせた。
「上司として言おう、岡崎はよく頑張っている。出世に男も女も関係ないと言われるが、それでも現実は男社会。色々と困難も多いに違いない。だが、僕は君の力を認めている。自信を持て、一緒に働こう?」
「私と?」
「君と一緒に仕事がしたい」
あぁ、努力が報われるってこういう感覚なのか。この言葉を部長から聞けるなんて幸せで満たされていく。
「あ、ありがとうございーー」
「おい、礼を言うのは早いぞ。次は男として言う、梨里、聞きなさい」
梨里、と下の名を呼ばれた。
「僕は君を一人の女性として見たい。梨里が好きだ、恋人になってくれないか?」
好きな人に好きと言って貰える感動が押し寄せ、きっとこれ以上の奇跡が重なる日など無いだろう。
こびりついていたクリスマスの記憶、それから自分を強くみせようとした仮面が消えていく。
素顔でありのままの私は上司の顔、男性としての顔、どちらの部長からも求められたい。欲張りだ。部長をまるごと欲しくて背伸びをすると、首へ手を回す。
「どちらの質問もイエスです。私も部長と一緒に働きたい、部長とお付き合いしたいです!」
そう元気よく答えた私を部長は迷わず抱き締め返してくれた。
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