魔女のTrick or Treat

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「なに?」  起きて行くと 「ほい、これ。ハッピーハロウィン」 「え?」 「いや、お客さんとこに手土産持ってくのにデパ地下見てたら、お前喜びそうなのがあったから」 手渡された紙の手提げに入ってたのは、マカロンの詰め合わせだった。 「わぁ、可愛い……ありがとう」 「どういたしまして。いや、疲れてそうだからどうしようかと思ったんだけど。包装もハロウィン仕様だし、明日じゃなんか締まらねえなと思って」  彼は笑って、それから、夜遅かったけどせっかくだから1個もらって。  すごく美味しかったし嬉しかったんだけど、何日かしてふと気づいた。  もしかして、わたしが何かハロウィンぽいことでもしたら渡せるように、わざわざ用意してくれてたんじゃないだろうか。  だけど、わたしは残業でそれどころじゃなくって、すっかり忘れてたしそんな様子もないから普通に渡してくれたんじゃ……。  確かめたところで、多分たまたまだと笑うだけだろう。  わたしが気にするようなことは、彼は言わないだろうから。  だったら、代わりに来年は何か、彼が喜ぶようなことをしてあげよう――――と心に決めて。  こっそりネットの通販を探して、彼の居ない時に届くようにして。  彼が休日出勤してる間に試着してみたけど、衣装が悪いわけじゃないのに思っていたのとちょっと違って落ち込んでいる。
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