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「あれ――――」
思ってたのと違う？
鏡の中の自分を見て、思わず固まってしまった。
オレンジのリボンのついた黒のとんがり帽子に、黒サテンのワンピース。
ネットでモデルさんが着てるのを見た時はそれほど感じなかったけど、自分が着てみるとずいぶん丈が短い。
……というか、もしかしてモデルさんより脚が太いからそう見えるんじゃ……。
彼は、出会った時より肉がついて良かった、といつも言ってくれるけど。
確かにその当時は痩せすぎだったけど、今言われると慰めというかただのフォローじゃないかと思えてしまう。
「……生足で着てるから余計変に見えるのかな……。そうだ、タイツ。柄タイツとか網タイツとか穿いたら違うかも」
タンスの中を探りながら、なんでこんな恥ずかしいことしてるんだろう……と思うけど、彼のためなんだから仕方ない。
去年の、結婚して初めてのハロウィンは、月末で忙しくて帰りが遅かったのもあって、すっかり忘れていて――――。
駅まで迎えに来てくれて、一緒に家に帰って。
夕飯食べてお風呂を出た後、疲れて自分の部屋で寝転がっていると
「すず」
と、彼が襖を叩いた。
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