37人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
ホントに、いいのかな。これで。
笑われたりしないかな……と不安になる。
はぁ、と思わず溜息をついたけれど、今日はもう29日。
もう一度取り寄せる時間もないし、お店に買いに行く勇気もない。
これで何とかするしかない――――。
31日。
今年はわたしにとっては運良く、彼はお客さんを訪問してから帰ることになり、わたしも少しの残業で済んで彼より先に帰ることが出来た。
試着の反省を踏まえて買って来た網タイツを穿いて。
帽子は被るけど、ちょっとでも上にボリュームを出して視線を上に……と髪も軽く巻いて。
何とか見苦しくないようにあれこれ努力をして、一応仕上がったところで彼が帰って来た。
鍵が開く音がして、玄関へ飛んで行く。
「ただいま――――」
「おかえりなさい。……あの、ハッピーハロウィン、……じゃなくて、トリックオアトリート!」
恥ずかしいのを堪えて必死に言うと、彼はきょとんとわたしを見る。
あれ。
……もしかして、去年のも本当にたまたまで、全部わたしの勘違いだったら……。
さあっと血の気が引きそうになったけれど、何もなかったことにも出来ないので言い訳をする。
「……あの、去年、何もしないでお菓子だけもらっちゃったから、何かしようと思って……似合ってないかもしれないけど、いろいろ考えて、これ」
彼は、身を屈めてわたしの顔を覗き込む。
「……ごめんなさい。似合ってない?」
最初のコメントを投稿しよう!