14人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「マリンちゃん、ここはダンジョンなんだよね?」
太郎が立ち上がり池を睨みつけた。
「色んな苦難や敵が現れるけど、それを攻略するのがゲームだよね?」
太郎はマリンの肩を掴んだ。
「ゲームの事教えてくれるって言ったよね? 教えて」
太郎の真剣な眼差しにマリンも少しだけ落ち着きを取り戻した。
「うん……ダンジョンを攻略するには……1人じゃダメ。仲間が必要だよ。それも違う役割の。武力の優れた勇者は剣で敵を倒す。力が弱い女の子は魔法を使って敵を倒す。あと勇者が怪我をしたら癒やしの魔法で傷を治してあげるの」
「じゃあ僕が勇者だとしたら、マリンちゃんは魔法使いなんだね」
「役割的には」
「じゃあ魔法が使えるはずだ」
「ムリムリ! 私魔法なんて使えないよ!」
「大丈夫。ここはダンジョン、ゲームの世界だ。さあ……」
太郎はマリンの手を握り立ち上がらせた。マリンは戸惑いながらも目を閉じた。
「闇に囚われし光の精霊たちよ
赤き月の光を浴び、今こそ目覚めよ
闇に光を
牢獄に鍵を
病者には良薬を
全世界に救いを!」
マリンはかっと目を見開き赤い石を池に投げ入れた。
ゴボゴボ……
石は音を立てながら、溶けた。
「あーー! やっぱり私には魔法なんて無理だったんだ。あーー……!」
悲嘆に暮れマリンは地面に突っ伏した。
最初のコメントを投稿しよう!