神殿はダンジョンの入口

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「逃げなきゃ! 龍に食べられちゃう! 早く抜け道教えて!」  マリンは床下に飛び込んだ。 「そんな話信じてるの? 龍は人間なんて食べないよ」 「そんな事分かんないじゃん!」 「だって神様だよ? 人間を守る神様なのに人間を不幸になんてするわけないじゃん」 「……まあ、そもそも龍なんてゲームの中でしか見たことないけど」  マリンが少し考え込んでいると、男の子はにっこり笑って床下に入り込んだ。 「ねえ、この下迷路になってるんだよ」 「迷路?」 「うん。僕にしか分からない迷路。1人じゃ迷子になっちゃうよ」 「え〜……」  マリンは困ったように男の子を見た。 「僕が案内してあげる。そのかわり、僕にゲーム教えて」 「ゲーム? いいよ!」  2人は床下に潜り込んだ。すると本当に細い道がくねくねと繋がっていた。 「おー、ダンジョンみたい!」 「ダンジョン?」 「ゲームの舞台だよ。宝箱やモンスターが隠れてるの。それを攻略して進んでくの」 「ふうん。あるかもしれないよ」 「本当? じゃあ早速探検だね」  2人は暗い道を歩き出した。  男の子は名前を太郎だと教えてくれた。自分のキラキラネームとは正反対な古風な名前だなあと思った。  薄暗い道もしばらく歩くと目が慣れてきた。 「あ、ほら。早速あったよ」  太郎は地面に刺さっている棒を指さした。
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