魔法発動?

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魔法発動?

「疲れたね。酷い場所だった」 「本当。剣もダメになっちゃったね」 「うん。もう刺さらないや」  それでもモンスターが現れた時のために捨てずに持っていくことにした。  しばらく進むとふかふかで柔らかな地面になっている事に気付いた。 「わっ、何これ面白い。トランポリンみたい」 「トランポリン?」 「うん、保育園にあるの。ジャンプして遊ぶの」  マリンはその場でジャンプをしてみた。トランポリンほどは跳ねないが楽しむには十分だった。 「太郎くんもやってみなよ」 「うん」  2人はしばらく跳躍を楽しんだ。自分たちの置かれている状況もすっかり忘れ、無邪気な笑顔を見せていた。  しかし2人が跳ねるたび、徐々に地面は湿り気を帯びてきた。そしてとうとうドロドロのぬかるみになっていた。 「やばい。もしかしたらここは沼かもしれない」 「沼?」 「うん。元々は池か湖で、土や落ち葉が積もって一見地面に見えてるだけかもしれない」 「え、じゃあこの下は水?」 「かもしれない」  マリンは名前が海なのに、水は苦手だった。お風呂より深い水は知らない。シャンプーも苦手で、今でもシャンプーハットを使っている。水は息ができない、目が見えなくなる。恐怖の対象でしかなかった。  大慌てで沼地を抜けようと2人は走った。しかし行けども行けどもふかふかの地面だった。 「ああ……」  走りついた先には大きな池があった。もう進む事はできない。
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