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「あの、よかったら食べますか?」
パンの袋を開けようとしていた聡へ舞はお弁当を差し出す。
「え?」
聡が驚いた顔を見せる。
舞は慌ててお弁当をひっこめて苦笑いを浮かべた。
「ご、ごめんなさい。なんでもないです」
「いいの!?」
舞の言葉を遮るようにして聡が言う。
その目はまるで子供みたいにキラキラと輝いている。
「あ、ごめん。ちょっとがっつきすぎだよね?」
気がついて照れたように頭をかく。
「いえ、全然大丈夫ですよ」
そう言って舞は聡へお弁当箱を差し出した。
聡は目を輝かせて両手を合わせると「いただきます」と、丁寧に言った。
箸を上手に使って甘い味付けの卵焼きを口に運ぶ。
舞はドキドキしながらその様子を見つめた。
「うん、うまい! これって長谷川さんの手作り?」
「はい、一応」
「すごいね。俺料理は全然しないから尊敬する」
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