第2話 彩の場合

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知明は熱くもないのに背中に汗をかいていた。 一体どうして彩は怒っているんだろう。 普通に質問しても答えてもらえないだろうし、どうにかして自分で心当たりを見つけないといけない。 だけどどれだけ記憶をたどってみても思いつくことはなかった。 「今日、私の誕生日なんだけど」 しばらく歩いたところで彩がポツリと呟いた。 それに反応して知明はすぐ笑顔になる。 「もちろん、覚えてるよ。ちょっといいレストランを予約してあるから、お昼は軽くで済ませようよ」 冗談半分でそう言って見せても彩の表情は険しいままだ。 睨まれている気分になって知明は思わず視線をそらせた。 今日は彩のバースデーデートなのだから知明がそれを忘れることなんてない。 プレゼントも沢山買ったし、ディナーの予定もばっちりだ。 だから今日はとても楽しい1日なるはず……だったのに。
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