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その気持をごまかすように指先に髪の毛をくるくると巻きつけて戻すという無意味な行為を繰り返す。
「あの、俺っ」
聡の声が裏返り、舞がようやく指先を下におろした。
それでも聡の顔を見ることはできず、白衣の左胸についているネームばかりに視線を向ける。
「俺、長谷川さんのことが好きです!」
突然の告白。
地球が爆発する音が舞の頭の中に響き渡り、平穏な毎日が崩れ落ちていく。
聡の顔は真っ赤に染まっているのでこの告白が嘘だとは思えなかった。
舞の顔まで同じように真っ赤に染まっていく。
「あの……私……その……」
しどろもどろになってなにが言いたいのか自分でもわからなくなってくる。
舞は勢いよく頭を下げてダッシュで駆け出した。
後ろから聡が声をかけてくるけれど立ち止まることはなかった。
人生で初めての告白。
しかも童顔医師の鈴木が相手だなんて……!!
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