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あからさまに慌て始める知明に彩は大きくため息を吐き出した。
「いやごめん。喧嘩じゃなくて、私が一方的に怒って帰っただけかも」
冷静になればそっちの方が正しい。
どれだけ知明に質問されても、ちゃんと答えなかったんだから。
もしそれがループの原因だとすれば、ここでしっかり問題を解決しておかないと明日もまた6月12日になるかもしれない。
慌てた表情をしている知明をジッと見つめる。
この人が私の友達と浮気しているなんてちょっと考えられない。
だけど、だからこそ人目を盗んで密会している可能性もあるわけだ。
彩は大きく息を吸い込んでそして吐き出した。
「あのね知明。私見たの」
「見たって、なにを?」
「知明がチカゲと歩いてるところ」
ハッキリと言葉をぼかすことなくて言い切った。
知明は一瞬動きを止めて凍りつき、かと思えばすぐに彩から視線をそらして落ち着きがなくなった。
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