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信じられない思いで高架下をくぐったとき、舞はハッと目を覚ました。
上半身をベッドから起こすと心臓がドクドクと早鐘を打っているし、呼吸まで乱れている。
まるでついさっきまで聡から逃げて走っていたような感覚が、リアルに手足に残っていた。
その直後にスマホのアラームが鳴り始めて舞は飛び上がらんばかりに驚いた。
慌ててサイドテーブルへ手を伸ばしてアラームを止める。
時刻は6時30分。
今日の日付は5月15日になっている。
それを確認した舞はベッドに座ったままゆるゆるとため息を吐き出した。
「また、《今日》だ……」
呟いてベッドから起き上がり、姿見を確認する。
相変わらず《今日》はひどい寝癖だった。
後ろの髪の毛がまっすぐ上に向かって跳ねていて、まるで東京タワーが乗っかっているみたいになっている。
とても手ぐしで直るものではないので、すぐに鏡台の前に座った。
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