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彩は叫ぶように言って喫茶店を出た。
知明は慌てて追いかけるけれど、多めのお金を置いて駆け出すということができない。
律儀にレジでお金を払い、お釣りとレシートをもらって外へ出たときにはもう彩の姿はどこにもなかったのだった。
☆☆☆
「最低……」
1人で電車を待ちながら彩は呟く。
浮気の真相を知りたかったのに、いざ知ると胸が痛くて仕方ない。
知明のわけのわからない言い訳を思い出す度に自分の体の一部がえぐられるようだ。
彩は泣き出してしまわないようにグッと奥歯に力を込めて電車を待ったのだった。
☆☆☆
は……?
目をさますろベッドの上で、相変わらずの白い天井が視界に広がっていた。
ごろんと寝返りをうってスマホを確認する。
その画面には6月12日、午前8時と表示されている。
また、戻ってる……。
知明に浮気の事実を突きつけて、それでおしまいという話にはならなかったみたいだ。
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