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さっそくライバルに流されている自分にツッコミを入れる。
ここはしっかりしなきゃいけないときだ。
自分にそう言い聞かせた時、チカゲの後ろから知明が出てきた。
大きな体をかがめて隠れていたみたいだ。
その目は垂れ下がり、まるで怒られた柴犬みたいになっている。
「デートをすっぽかされたってメッセージが来たから連れてきた」
チカゲが顎をシャクって知明を差しながら言った。
「はぁ……それはどうも」
デートをすっぽかされた知明を慰めて自分の手篭めにするわけじゃなかったチカゲに、なんだか拍子抜けする。
浮気しているなら、そのままふたりで遊びに行っても良さそうなものなのに。
「もしかしてなんだけどさ」
チカゲが彩に向き直る。
彩は小さくなっている知明からチカゲへ視線を戻した。
「なに?」
「6月10日に大学の講義室Aを覗いた?」
その質問にドキリとする。
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