第1話 舞の場合

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寝癖直しのスプレーをしながらふと、今日で4日目だと考える。 昨日で5月15日は3回目だった。 そして聡から変わることのない告白を受けたのも3回目。 聡から告白を思い出すとまたゆるゆるとため息を吐き出す。 《今日》もまた聡から告白されるんだろうか。 仕事終わりに呼び止められて、真っ赤に染まりながら「好きです」と、愛の告白を受けるんだろうか。 想像するだけで鏡にうつる自分の顔がみるみる赤く染まっていく。 一瞬仕事を休んでしまおうかと思ったが、聡から告白されて困るので休みますなんて言えない。 仮病を使うとしても、イジワルな看護師長が「それなら診察を受けに来なさい」と言うに決まっている。 舞の勤め先で仮病は通用しなかった。 かくして4回目となる《今日》もおとなしく仕事へ向かうしかなかったのだった。 ☆☆☆ 「長谷川さん。この書類を鈴木先生のところへ持っていってくれない?」
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