理由

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あのとき知明は自分の言葉を一生懸命文章にしていたのだと思うと、ふいに可愛らしく感じられた。 苦手な文章で気持ちを伝えようとしてくれたことが嬉しい。 「ありがとう。すごく素敵なプレゼントだよ」 「俺にはこれくらいしかできないから」 頭をかく知明に彩は抱きついた。 大きくて筋肉質な体は少し硬いけれど、抱きしめられると安心感がある。 「今日はどうしよう? もう、昼すぎだけど出かける?」 「このままで大丈夫だよ」 「でも……」 誕生日に家から出ないことを懸念しているらしかった。 彩は不安そうな表情の知明にキスをした。 知明の頬がほんのりと赤く染まる。 「ディナーの予約まで、ふたりきりっていうのはどう?」 ささやくと、知明の耳までが真っ赤に染まった。 そしてコクコクと何度も頷くのだった。 ☆☆☆ ディナーが終わり家まで送ってもらった彩がベッドに入る。
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