第3話 由佳の場合

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「モチロンダヨ。コレカラ、ヨロシクネ」 そして本当に機械になってしまったかのように抑揚のない声で言ったのだった。 ☆☆☆ 「もう、うんざり!」 実家である家に帰宅した由佳は帰るやいなや自室に飛び込んで叫んだ。 バッグを床に投げ出して盛大なため息とともにベッドへダイブ。 本当に疲れ切っているようで、目の下にはクマが見えていた。 達也はちゃんと家まで車で送ってくれたのだけれど、本当は1人で電車で帰りたい気分だった。 それくらい由佳の心は疲れている。 だけどプロポーズを受けた直後に『今日は電車で帰るから。ばいばぁい』なんて言えない。 きっと達也は思い悩んでしまうはずだから。 今日1日を振り返るとどっと疲れが押し寄せてくる。 朝からうんざりした気分だったのに、大切な日だとわかっているからデートを断ることもできなかった。 「今日で3度目」 由佳はまたぼそりと呟く。
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