4度目の朝

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波はとてもおだやかで心地よいさざなみの音が鼓膜を刺激する。 風はおだやかで夜景は綺麗で、これ以上ないシチュエーションが《今日》もまたそこにあった。 達也がここをプロポーズの場所に選んだのも納得だ。 ふたりで並んで散歩をして、そして達也が不意に立ち止まり振り向いた。 その顔には緊張感が張り付いている。 それでも由佳はもう緊張しなかった。 さすがに4度目となると最初のときめきは消え去ってしまった。 達也は砂浜に片膝をついて箱に入った婚約指輪を差し出した。 まるで星のように輝いて見えいたダイヤモンドも、今はこんなものかという印象。 達也が一生懸命選んでくれたものなのに、その感動は本来の半分にも満たなかった。 由佳の胸には不満が大きく膨らんでいく。 何度も何度もプロポーズを受けて、その数だけOKして、それなのに全然前に進むことができない。 この毎日に一体なんの意味があるの?
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