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だけどそんなこと気にしていられなかった。
とにかくここから離れたかった。
ここから離れて、冷静になって頭を冷やすんだ。
何度も砂浜に足をとられながらも、由佳は振り向かずに走り続けたのだった。
☆☆☆
1人で電車に飛び乗って一番隅の席に座り、ようやくホッと息を吐き出すことができた。
砂浜からほとんど止まることなくここまできたから、自分の足に砂がついていることに気がついた。
それを手で払う気力もなく、目を閉じる。
幸い家の最寄り駅まで乗り換えはない。
体は鉛を飲み込んだかのようにずっしりと重たくて、座ったら最後、もう立ち上がることができなさそうだった。
少し眠ろう。
由佳はそのままトロトロとした眠りに落ちていったのだった。
☆☆☆
電車の中で眠ればまた《今日》の朝になっているかもしれないと思ったが、普通に夜の駅に降り立った。
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