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受け取った瞬間、これで聡に会いにいかなければならなくなったと、ひどく後悔した。
「じゃ、よろしくね」
そう言って忙しそうに去っていく看護師長の背中を見送って、舞は大きくため息を吐き出したのだった。
☆☆☆
聡に会いにいくことにためらいはあるけれど、別に嫌いはわけではない。
むしろ聡のことは接しやすい医師だと思っているし、童顔なところも舞の好みだった。
けれどまさか告白されるとは思っていなかったし、聡のことをそういう目で見たことは1度もなかったからとまどいの方が強かった。
舞自身、今まで交際経験がなかったことも大きなネックになっている。
24歳で交際経験ゼロだと言うと同僚からはきっとからかわれるから黙っているので、誰にも相談できなかった。
重たい気持ちで聡のいる診察室Aのドアをノックする。
ちょうど患者さんが途切れたタイミングだったようで、すぐに中から返事が聞こえてきた。
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