4度目の朝

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由佳の言葉にさすがに驚いた様子で目を丸くしている。 由佳と達也の関係が続いていけば、当然結婚するものと思っていたのに、予想外だったんだろう。 由佳だって、達也からのプロポーズを断るなんて考えてもいないことだった。 「達也くんとは結婚したくない?」 その質問に左右に首をふる。 涙がポロポロとこぼれ落ちていく。 「そんなことない。だけどなんだか、胸の中がすごく重たくなって、憂鬱な気分になって……」 4度目だからとは言えなかった。 4度目で、どうしてこんな感情になったのかもわからない。 そんな様子の由佳を見て、「ちょっと待っていなさい」と一声かけて部屋を出ていく。 由佳が涙を拭っていると、母親はすぐに戻ってきた。 手には分厚いアルバムを持っている。 「これを見て」 そう言って白い表紙を開くと、そこには結婚式の写真が貼られていた。 「これ、お父さんとお母さん?」
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