4度目の朝

15/18

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/81ページ
まだ20代前半だろうか。 とても若い両親の写真に自然と笑みが溢れる。 若いけれど、ふたりともしっかりと面影がある。 母親は純白のドレスを着て、父親も白いタキシード姿だ。 写真は少し色あせているけれど、その姿は眩しいくらいだ。 「そうよ。結婚式のときの写真」 「お母さん綺麗だね」 「当たり前でしょ。お母さんは今でも綺麗なんだから」 冗談を言いながらページをめくる。 写真の中のふたりは常に寄り添い、微笑んでいる。 「ふたりとも幸せそう」 「そりゃそうよ。人生で一番幸せだった」 そう言われてまた由佳の心が重たくなる。 自分はずっと7月1日を繰り返している。 だからこんな幸せな時間を味わうこともできないんだろうか。 「でもね、それまでは色々あったのよ」 「付き合ってたときのこと?」 聞くと左右に首を振られた。 「プロポーズを受けてからのことよ」
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加