5度目の正直

4/5

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/81ページ
「先に由佳の本音を聞くことができてよかったよ」 やっぱり、振られるんだ……。 そう思って覚悟を決めたときだった。 達也が砂浜に片膝をついた。 そしてポケットから指輪を取り出す。 「そうやって本音を言ってくれるなら、俺も安心です。由佳、俺と結婚してください」 大きな波が押し寄せて、そして帰っていく。 由佳の鼓動は高鳴り、涙がこみ上げてきた。 熱い涙のせいで視界がボヤけてくる。 言いたいだけ言ったのに、プロポーズされる前からマリッジブルーになっていたのに、達也は考えを変えなかったのだ。 由佳は震える両手で自分の口元を抑えた。 「答えを聞かせてくれる?」 達也の質問に由佳は大きく頷いて「よろしくお願いします」と、答えたのだった。 ☆☆☆ 同じ7月1日に5度のプロポーズを受けるという奇妙な経験をした由佳は、左手薬指に指輪の感触を感じながら眠りについた。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加