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ぺろりと唇を舐めた志麻くんは、満足そうな後ろ姿で自分の席へと戻っていく。
「……しましまコンビ、距離感ホント謎だわ」
誰がつけたのかも覚えていないコンビ名と共に、眞白が呆れた顔をして食事を再開している。
志麻くんだって特に意図があってやっているわけではない。そう思う一方で、特別な意図があればいいのにとも思う。
何もなかったみたいな顔をして自分の席に戻った志麻くんは、クラスメイトの女子たちに声を掛けられていた。
「藤岡く~ん、あたしたちも隣いい?」
「今日のお弁当手作りなんだぁ、良かったら一口どーぞ」
狭い教室内だ、先ほどの私とのやり取りを見ていたのだろう。あっという間に壁ができてしまって、志麻くんたちが何を話しているのかはわからない。
その光景を横目に見ながら、今の私にはそれをけん制することもできないのだと歯がゆさを覚える。
今の関係が崩れてしまうのも怖いけれど、できるなら私は志麻くんの彼女になりたい。
私と同じように、後夜祭で彼に告白しようと考えている女子も少なくないだろう。だから私には、迷っている時間などない。
「……眞白。私やっぱり、告白するよ」
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