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02:大好きな彼
「千綿、買い出し行ける?」
「ごめん、ちょっとだけ待って……!」
志麻くんに声を掛けられて、私は手にしていた教材を慌てて机の中に押し込んでいく。
そんなにのんびりしていたつもりはないのだけど、こういう時の行動は彼の方が素早い。鈍くさいと思われていたら嫌だな、なんて。
「ゆっくりでいい、リスト確認しとくから」
そう言って、志麻くんはポケットから取り出した自分のスマホに何かを打ち込み始めた。
本格的に学園祭に向けた準備が進められて数日。私たちのクラスがやるのはまさかのお化け屋敷で、その内装準備に追われている。
三年生ということもあって、準備に携わる人数は全員ではないのだけど。
思い出を残したいと考える人が多かったこともあって、みんな少しでも何かやれることがあればと動き回っていた。
そんな中で、赤のマジックペンが足りないと言い出したのは誰だっただろうか?
近所のコンビニまで買い出しを申し出た途端、次々と追加の注文が溢れてしまったのだ。
「手伝わせることになってごめんね、志麻くん」
「千綿が謝ることじゃないだろ、俺が手伝うって言ったんだから」
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