02:大好きな彼

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 私一人での買い出しを見かねて名乗り出てくれた志麻くんは、相変わらず何でもないことのように言う。  各々が好き勝手に書き殴ったせいで四方八方へと文字が散らばった買い出しメモは、志麻くんのスマホの中で綺麗に整頓されていた。 「ありがとう。志麻くんって困ってるといつも手伝ってくれるよね」 「そうか?」 「うん。困ってると颯爽(さっそう)と現れるから、周りをよく見てるんだなって」  もちろん、24時間どんな時にもというわけにはいかないけれど。  同じ教室の中で困ったことがある時には、いつも志麻くんが解決してくれている気がする。 「……千綿だから、かな」 「え?」 「お前たち~、差し入れだぞ~」  志麻くんがぽつりと呟いた言葉を聞き取れずにいると、大きく音を立てて教室の扉が開かれる。  見ればそこにいたのはクラス担任の純部(すみべ)先生で、手には白いビニール袋を提げていた。中には大袋入りのチョコレート菓子が入っている。 「やった、純部サンキュー!」 「純部先生だろ。他のクラスには内緒にしとけな」 「スミセンこっち手伝って~」
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