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「こっ、これは……! 間違えたのが、定着しちゃったっていうか……」
彼の言う通り、入学したばかりの私はセンター分けをしていた。
クラスメイトの間で流行りの髪形を真似しようとしたものの、美容院で頼むのがどうしてだか恥ずかしかったのだ。
だから自分で前髪を切ったのだけど、自分の不器用さは自分が一番よくわかっている。やめておけば良かったと思っても、後悔先に立たずというやつだった。
「恥ずかしすぎて学校行きたくなかったんだけど。眞白が似合うよって言ってくれたから、これも悪くないかなって」
「俺も花江の意見に賛成だな」
「賛成……?」
「千綿によく似合ってると思う」
そうやって志麻くんは、恥ずかしいことをさらりと言ってのける。
「っ……志麻くんはすぐそうやって!」
「わっ、おい、やめろって……!」
顔が熱くなるのを誤魔化したくて、腕を伸ばして志麻くんの前髪をぐしゃぐしゃにしてやる。
抵抗して私の腕を掴んだ志麻くんに、そのまま抱き寄せられたのは完全に想定外だった。
「え……っ、ちょ……志麻く……!?」
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