00:プロローグ

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「私は別に、告白とかそういうのはしないから」 「告白しないって、冗談でしょ? あ、もしかして藤岡くんの方から告られるって自信が……!」 「千綿」  興奮気味に声量を増していく眞白の言葉は、第三者の呼びかけによって遮られてしまう。  けれど、その相手が噂の張本人であったことで、眞白のもの言いたげな目が私と彼――藤岡志麻(しま)くんの間を行き来する。 「……志麻くん」 「もう掃除終わりだろ? それ、捨てるのか?」 「うん」  彼が目を留めたのは、私の足元にあるゴミ袋の山だ。  一人で運ぶには多いけれど、同じくゴミ捨て担当の眞白と二人なら往復せずに済むだろうと思っていた。 「手伝う。一緒に行こう」 「え、いや、これは眞白と……」 「あっ! あたし用事思い出したから、藤岡くんは千綿と一緒にゴミ捨ててきてもらっていいかな!?」 「ちょっと、眞白……!?」 「ああ、わかった」  私の意見などお構いなしに、眞白は拾い上げたゴミ袋を志麻くんに押し付けている。  そうして私に向かって綺麗に片目を瞑って見せた彼女は、軽い足取りで教室を出ていってしまった。
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