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「じゃあ、俺ら学校戻らなきゃなんねーから。……千綿?」
互いに文句を言い合っている水田さんたちをよそに、買い物袋を持ち直した志麻くんは二人を避けて歩き出す。
けれど、私が着いてこないことに気がついたらしい彼は、立ち止まってこちらを振り向いていた。
「へっ!? あっ、うん……!」
私も一緒に学校に戻らなきゃいけない。そう思い出して、慌てて志麻くんのところへと駆け出していく。
スルーされていたとはいえ何も言わずに離れるのも気が引けて、通りすがりに水田さんたちに会釈をする。
なんとなく睨まれているような気がしたけれど、誘いを断られてショックを受けている最中だからだろうと思うことにした。
(先約……か)
零れ落ちてしまいそうになる溜め息をどうにか飲み込んで、志麻くんと並んで学校への道を戻っていく。
あまり愛想が無いなんて言われたりするものの、志麻くんはいわゆる人気者だ。前髪で隠れていても、ふとした瞬間に顔が整っているのもわかる。
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