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一年生の時には、志麻くんへの気持ちがここまで大きくなるなんて考えてもみなかった。
だからこそ、告白もしたいけれどそれと同じくらい、志麻くんと一緒に学園祭を楽しめたらと思っていたんだ。
「……今年も、一緒に行く人と楽しめたらいいね」
「ん?」
意味は通じると思ったのに、志麻くんはなぜか不思議そうな顔をして私のことを見下ろしてくる。
「とぼけなくていいよ、先約あるんでしょ。モテ男の予約枠は早々に埋まっちゃうんだ」
約束をした相手が男女どちらなのかはわからないけど、高校最後の学園祭だ。志麻くんにとって素敵な思い出になればいい。
ただ、できれば……女の子じゃなかったらいいのになんて、願ってしまうけれど。
「ああ、先約の話は嘘だよ」
「…………え?」
考える間もなくあっさりと返された言葉に、私は思わず立ち止まっていた。
期待をしすぎるあまりに都合よく聞こえた幻聴かもしれない。そんな風に考えた私に、志麻くんは言葉を続ける。
「だから、先約なんかないって。ああ言った方が手っ取り早いだろ」
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