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「眞白ってば……ごめんね、志麻くん。私がやるから手伝いは大丈夫だよ」
「構わない。千綿に用があったし、俺も行く」
「で、でも……」
「二人で行けば早く終わるだろ」
「…………うん、ありがとう」
私が遠慮していると思ったのだろう。床に置かれていたゴミ袋も拾い上げた志麻くんは、返答も待たずにスタスタと廊下に向かっていく。
彼一人にゴミ捨てを任せるわけにもいかなくて、私も残りのゴミ袋を手に取るとその後に続くことにした。
先にゴミ捨て場に行っているものかと思いきや、廊下に出ると志麻くんは立ち止まって私が来るのを待っている。
「そっち、重くない?」
「ううん、平気だよ。志麻くんの方がたくさん持ってくれてるし」
両手に二つずつゴミ袋を持つ志麻くんは、頼めば私の持つ残り二つのゴミ袋まで引き受けてくれそうだ。いや、間違いなく引き受けてくれるだろう。
藤岡志麻という人間は、そういうひとなのだ。
「学園祭、楽しめた?」
「それなりに。千綿はいろいろ食べられたのか?」
「なんで食限定なの?」
「食べるの好きだろ」
「好きだけど……」
事実なので否定できないけれど、なんとなく悔しい。
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