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できる限り恐怖と興味を持ってもらえるようにと、担当だった入り口の看板はギリギリまでこだわったつもりだ。
本物の血で描かれたように見える真っ赤な文字に、井戸から出てくる某有名な女性の幽霊を模した、立体的な頭部と腕。
扉の上部にある小窓――欄間というらしい――から這い出してきている感じにしたかったのだけど、こうして見ると我ながら良い仕上がりになったと思う。
垂れ下がった髪の毛は扉の下まで伸びており、そこを潜ってお化け屋敷の中へ入っていく仕様だ。
「そうだね、ちゃんと怖がってもらえるかドキドキだけど。思ってたよりしっかりお化け屋敷になってるんじゃないかな」
「それもそうだけど! もう一個、メインイベントが待ってるでしょ」
「あ……う、うん」
眞白の言わんとしていることを察して、思わず視線が泳いでしまう。
志麻くんに告白をすると決意した。その気持ちは変わっていないし、泣いても笑っても今夜にはすべてが終わっているのだ。
ただ、今の私はそれどころではなくて、気を逸らしていないと緊張で倒れてしまいそうだった。
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