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「なんだったらあたし途中で当番変わるし、早めにデート行ってきてもいいんだからね」
「そ、それはいい……!」
眞白の申し出に大きく首を横に振ると、私は生徒たちが行き交う廊下をぐるりと見回す。
「……もちろん、志麻くんとのことも大事なイベントなんだけど。最後の学園祭も、ちゃんと楽しみたいから」
みんなが一丸となって準備を進めてきた今日という日。
お揃いで作った水色のクラスTシャツ。それを身に着けたこのメンバーと共に過ごせるのは、今年が最後なのだから。
「そっか、じゃあまずはお客さんたくさん呼び込まなきゃだね」
「うん! あ、眞白は?」
「ん? あたしがなに?」
「その……ジンクスのこととか、眞白は告白しないのかなって」
恋をしているのは私だけではない。
私が志麻くんのことを好きだと知られた時に、眞白にも好きな人がいるらしいという話を聞いたことがあった。
ただ、その相手が誰なのか眞白は教えてくれなかったし、尋ねる機会も失ったままだ。
叶うことのない恋だから、なんて笑っていたけれど。
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