04:学園祭当日

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 明るくて優しくて女の子らしい、私にとって理想の塊みたいな眞白にも、叶わない恋があるなんて今でも信じられない。 「あたしのことはいーの! ほら、お客さん第一号来たよ!」 「あっ、いらっしゃいませ!」  眞白はやっぱり、告白をするつもりはないのかもしれない。それ以上を聞き出そうとするのは、きっと野暮というものなのだろう。  やってきたお客さんを教室内へと誘導する眞白を横目に、私も目の前の役割に集中することにした。  それからお昼近くまで、想像以上にお化け屋敷は盛況だった。  教室の中からは定期的に悲鳴が聞こえてきて、それを聞きつけたお客さんが興味を示してやってくる。  大人数を押し込むわけにはいかないので、結果的に廊下には待ちの行列ができるタイミングもあったほどだ。 「お、お腹空いた……!」 「嶋ちゃんおつかれ~、交代しよ」 「ありがとう、たこ焼き並んでるかな?」 「あー、ちょうどお昼だもんね。結構列できてるかも」 「だよねぇ」  お昼休憩を挟んで当番を交代すると、クラスメイトに後を任せて私は小さながま口財布をスカートのポケットに押し込む。
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