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自分のためでもあるのだろうけれど、その気遣いにますます彼のことを好きだという気持ちが膨らんでしまう。村田くんにも感謝をしなくては。
「そうだったんだ……あ、お金払うよ!」
「いいよ、俺も食うし」
「でも……」
「甘いのも買いに行くだろ? そっち奢って」
「……わかった、ありがとう。志麻くん」
交換条件を出されてしまえば、それ以上食い下がることもできない。私がデザートも買わずにいられないことを、把握されてしまっているのか。
休憩できそうな屋外のベンチや、飲食のために設置された簡易スペースは、すでに多くの人で埋まっていた。
結局、私と志麻くんは空き教室のひとつを借りて昼食を楽しむことにする。
机を挟む形で向かい合うと、たこ焼きに焼きそば、フランクフルトなどが並べられていった。
「たくさん買ったね」
「ホントは千綿の好きなやつ聞いて買いたかったけど、時間無かったから。好きなの食っていいよ」
「……全部好き」
「ハハ、じゃあ半分ずつ食おう」
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