05:彼が死ぬ日

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「栗林くん、どうかしたの?」  私と志麻くんが一緒にいると、どちらが呼ばれたのかわからないことも少なくない。  コンビ名と同じく誰がそう言い出したのかは覚えていないけれど、いつしか一緒の時には私が『しましまチャン』、志麻くんは『しましまクン』と呼ばれるようになっていた。  最初は不本意だったのだけど、今はもうわかりやすければなんでもいいと思っている。 「スミセンが呼んでたって、職員室」 「えっ、なんだろ……?」 「俺も一緒に行くか?」 「ううん、ちょっと行ってくる。連絡するから、志麻くんはどこか回ってていいよ」 「わかった、じゃあ待ってる」  わざわざ呼びに来てくれたらしい栗林くんは、用事が済むとどこかに行ってしまった。  呼び出されるようなことをした覚えはないけれど、先生に呼ばれているとなれば、無視するわけにもいかない。  私は志麻くんと一旦別れることにして、小走りに職員室へと向かうことにした。  学園祭で校舎の中はどこも賑わっているけれど、職員室の周辺では出し物が無いことから、こちらの方へやってくる生徒はいない。
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