27人が本棚に入れています
本棚に追加
/197ページ
01:始まりの日
琴葉ノ学園には、『後夜祭で告白すると幸せになれる』なんてジンクスがある。
それを本気で信じている生徒がどれほどいるかは定かではないけれど、真偽のほどはどちらでも良いのだ。
ジンクスを口実に告白をする男女は、毎年大勢いるらしい。
私が過ごしてきた2年半ほどの間にも、ジンクスのことを口にする人間は数えきれないほどいたし、実際に告白をした友人もいる。
その後に付き合ってあっさり別れたカップルもいれば、幸せとは程遠い関係性のカップルもいる。
きっとみんな、高校生活という限られた時間の中に、特別を感じ取れるきっかけが欲しいんだ。
「で、千綿は告白するんでしょ?」
今日のお昼ご飯はハムと卵のサンドイッチ。お母さんの作る卵サラダは卵の茹で加減と味付けが絶妙で、お店の味にも負けないと思っている。
お昼まで我慢ができなくて、今朝もこのサンドイッチを食べてきたのだけど。
主張しすぎないマヨネーズのまろやかさと、ハムの塩気があるからと控えめに振られた塩コショウの塩梅が最高だ。
最初のコメントを投稿しよう!