採用ってったって

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採用ってったって

社長が退室しようとすると、犬たちが足元に寄ってきてニオイを嗅ぎ始めた。 社長は立ち止まり、秘書の方へ顔を向けると、 私にもOFF~JTを付けてくれたまえ。給与は私の私費から出す。急で悪いが、3日以内に人材を見つけてくれたまえ。私も新しい社員に対して正しい知識と対応術を学ばねばならないからな。 それと、契約書についてだが、既存のものでは適用できないだろう。最適なものを作り直して後で持ってきてくれ。 ところで、私はこのまま部屋を出てよいのか? と、足元にじゃれつく犬たちに戸惑いながら言った。 秘書は犬たちに近づき膝をつくと、白の頭を撫でて見せる。そして、 少し頭を撫でてみてはいかがですか? と提案した。 社長は、うむ、と頷き、ゆっくりしゃがむと、ズボンの裾に鼻を突っ込んで遊んでいた黒の首をそっと撫でる。撫でながら秘書に言う。 君、今回も最適な人材を見つけてきてくれて、 ありがとう。私のプライベートは充実すること間違いなしだ。 ついでと言ってはなんだが、私のスケジュール管理もできる人物をもう1人頼みたい。あー、 電話対応や交通機関の手配などができる人物がいいな。パソコン作業もできて、字も書けて、えーと。 秘書は笑顔になり、 分かっております。そちらの方も既に手配済です。この後面接をお願いします。と言った。
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