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突如会場内に鳴り響いた若い男性の声。
振り向きそちらを向けば、あら? あのお方は何処かで……。
いまいち思い出せないので近くに居たベスパさんに尋ねてみもうした。
「ベスパさん、あの殿方を何処ぞで見た覚えがある気がするようなしないような」
「うぅん……。あ! あの人確かエルグランド家のリオさんじゃないか。こんなところに何の用だろう? 招待客の中にいなかったはずだけど」
エルグランド家といえば、国の中央区に屋敷を構える侯爵の位では?
でもリオさんは家庭教師に勉強を教わっているので学園に通っておらず、接点を持つ人はここに居ないのに。はて?
「やっと突き止めたぞ! まさかこのような場所で貴族が婚姻の儀を執り行うとは、全くの予想外だったが……。ペルケ・ペルケケン! ドゥーイットの男の婚姻など止めるんだ! あの男、既に別の女性に心を奪われているとの噂がある不徳の男。君に相応しいはずがない!!」
「えぇぇ……、いつの話をしてるんだ彼は。今日はその女性との結婚式だよ」
「誰も連絡先なんて知らないからこうなったんちゃうん? てか、そもそもあん男の知り合いなんて一人もおらんし」
「迷惑だな、もう式が始まるぞ。仕方ない、つまみだすか」
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