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「優太さん、顔見せてくださいよ?」
「…い、嫌だっ!」
「ふふっ!やっぱり恥ずかしいんじゃん!」
君がエスコートしてくれたベットへと入り込み、俺は自分でも分からないほどに恥ずかしさが強く滲み出ては、君の顔を直視することが出来なかった。
「なんでか分かんねぇんだよ…どうしてこんなに緊張してんのか、自分でも分かんねぇんだ」
「んー、きっとそれは…」
君の顔を直視出来ず、下を向いていた俺の頭を優しい手の温もりが包み込み「もう、僕たちは今までの関係とは違うから」と言葉を紡ぎながら君は、俺の頭を優しく撫でてくれた。
今までは、いつか『壊れてしまう日』が来るかもしれない関係で君と接し、互いに『好き』だという気持ちがあっても『いけない恋』という壁が俺たちをそれ以上の関係にさせてはくれなかった。
でも、今は『本当の気持ち』と『何にも縛られない二人の形』で隣にいれるからこそ、素直な姿を見せれば見せるほど、素直に恥ずかしさが増していたのだろう。
そして、俺よりも数十センチも背が低い君は、俺を今までに感じたことの無い『温もり』で俺を優しく包み込んでくれていた。
俺の大好きな一平。
俺が愛してやまない君の香り。
そして、柔らかな声に爽やかな顔。
「やっと…やっと俺の元へと来てくれたから…」
「僕もずっと…こうしたいと願っていた…」
「だからこそ恥ずかしい…お前へ素直に触れられるから、尚更に恥ずかしいんだよ…」
「うん、分かってます…でも安心して?どんなことがあっても僕はもう、優太さんから離れたりなんかしないから」
本当の気持ちで傍にいられる幸せと今までにない気持ちが入り交じり、恥ずかしながら言葉を紡ぐ俺の頭に感じていた手の温もりがそっと離れていくのが分かる。
そして、次に与えられた温もりは、君の手なんかよりも柔らかくて温かみのある『君の唇』がそっと触れては、離れていくのを感じた。
「い、一平…恥ずかしいよ…」
「優太さん?」
「…っ…」
もう強気でなんていられない。
本当の俺は心から君に甘えたくて、君にずっと触れていたくて…
もう俺には、君だけでいい。
君がずっと傍にいてくれるだけで…
本当にそれだけでいいんだ。
優太さんと俺の名前を呼んだ君は、俺の頬を両手で優しく包み込んでは「もう、素直でいいんだよ?」と優しく微笑みながら、柔らかくて温かい唇を俺の唇へとそっと、添えてくれた。
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