13人が本棚に入れています
本棚に追加
「……死んでいるのか?」
刹那は生死を確認しようと、少女に歩み寄る。
――ドクン
脈を確認しようと、少女の首に触れた時、刹那の心臓が大きく跳ね上がった。
脳裏に首を血で真っ赤にした女性の映像が過り、目の前で倒れている少女と重なる。
「ハァ……ハァ……」
動悸が激しくなり、刹那は言いようのない恐怖が込み上げてきた。
体にぶわっと汗が吹き出し、寒気が起きたかのように体が震える。
(くそっ……まただ。ホント……誰なんだよ)
刹那は胸を押さえ、呼吸を落ち着かせようと大きく深呼吸をする。
それを数回繰り返していると、「……うぅ」とくぐもった声が聞こえ、刹那はハッと顔を上げた。
少女の体がもぞりと動いた。
「……!」
――生きている。
そう確信した途端、刹那の体を纏っていた恐怖が薄れ、震えも止まった。
徐々に落ち着きを取り戻すと、刹那は再び少女に視線を向ける。
「見た感じ致命傷じゃなさそうだな……」
でも、腹部の出血は止まっておらず、このまま放置してしまうと失血死するだろう。
「…………」
刹那の胸中に言葉では表現できない感情が湧いてくる。
(気持ち悪ぃ……)
名前のわからない感情に頭がぐちゃぐちゃになる中、刹那は一つだけわかったことがあった。
最初のコメントを投稿しよう!