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ああ旅立つダビダビダビダッダビダァァ
──人呼んで奇跡が降る街、エブリスタウン！
┣″┣″┣″っと遊びにおいで！──
きっかけは、コンビニでふと目に入った旅行雑誌だった。
旅に出るのもたまにはいいな。
【特別付録つき】だってさw
ちょっと高いが、まあいい。思い立ったが吉日さ。日本のどこかに俺を待ってる人がいるかもしれない。
雪解け間近な北の空へ向かうのもいい。
「２７４０円です」
「あ、マイセンの１ミリも２つください」
俺の事はＡ・Ｔと呼んでくれ。仕事はシンガーソングライターだ。
……いや「だった」が正解かな。
人気が出なくてとうとう契約を切られて、ただの歌が好きなおっさんになっちまったんだから。過ぎ去りし日々の夢さ。
さあ、これからどうしよう？
小説も書いたりしているけど、こっちも歌と同じで鳴かず飛ばずだし。
……そんな俺だが、ストーカーみたいに今もこっそり見てる奴がいる。そのうち一言言ってやんなきゃな。
「３９００円です」
「あ、そのドーナツと、あと唐揚げも」
こんな小春日和の穏やかな日は、ネットの低評価が染みてくる。
まったく、馬鹿にしないでよっ。
それは昨日のあたしの台詞。
ﾄﾞ
ﾄﾞ
ﾄﾞ
「……４４４２円です」
ド
「あ、そうだ電気料金の支払いもやっとこ」
ド
シンガーだから、こうして買い物をしていても頭の中は常に歌の事を考えているのさ。
ド
ああ、創作意欲がドドドっと湧いて来た。
湧いて来たぞ。 ド
ド
「あ、コーヒーもください」
ド
ド
ああ、歌いたい。旅の空で俺の歌を。
ド
┣″
「あ、このスポーツ新聞も」
┣″
母の背中で聴いた歌を道連れに。
股擦れに気を付けて、旅に出よう！
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