猫はこたつの中に

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お昼ご飯を食堂で食べた後、3限目がある亜流歌とは別れて家に帰った。 「ただいまー」 「音子ねぇおかえり!」 「ただいま、三氣(みけ)」 家に帰った途端、中学1年生の弟が玄関まで駆け寄ってきた。 中学は丁度期末試験の時期らしく、弟のほうが帰ってくるのが早い。 タレ目を嬉しそうに細めて私の腰に抱き着いてきた三氣は、まだ反抗期に入っておらず、素直でとても可愛い。できれば一生このままの可愛さを保ってほしいくらい。 将来、クソ姉貴うるせぇ、なんて言われた時のことを脳内シミュレーションして勝手に落ち込むくらいには、私も弟のことが好きだ。 「三氣、せめて耳と尻尾は隠しておいで。たまたま外にいた人に見られたりでもしたら、大変でしょ」 三氣の頭を撫でながら注意すると、三氣は頭の上の三角耳をぺしょっと下げた。 三氣のふわふわとした猫っ毛は、いつ撫でても手触りがいい。 「ごめんなさい」 「次は気を付けるんだよ」 「はぁい」 わしゃわしゃと顔や頭を撫でると、三氣は嬉しそうな顔でふわふわの尻尾を私の足に絡めて来た。 やっぱり可愛い。癒し。温かい。 「あ、そうだ音子ねぇ。おやつあるよ!」 「それは楽しみだね。今日のおやつは何?」 「ふっふっふー。ウサギ肉のミートパイだよ! 一緒に食べよ!」 「先に行って待ってて。荷物置いて着替えてくるから」 「うん! 早くしてね!」
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